恵方巻きの話

2017年02月01日(水)

 今回も、暦のお話です。

 春の節分に、その年の縁起の良い方角を向いて巻き寿司を食べる「恵方巻き」は、私の記憶では10年前くらいから、だんだん知られるようになってきた気がします。その由来には諸説ありますが、どうやら関西が発祥のようです。昭和7年に「大阪鮓商組合」がお寿司の販売促進のため「幸運の巻き寿司」の宣伝を始めたのが、いまの恵方巻きの始まりだといわれています。

 節分といえば「豆まき」を思い浮かべますが、そもそも節分とはどういう日なのでしょうか。

 日本には四季があります。旧暦で一年を24種類の季節を表す「二十四節気」では、季節ごとの始まりの日を「立春」「立夏」「立秋」「立冬」といい、その前日を「季節の替わり目=節分(季かれ目)」といいます。今年の場合は2月4日が立春ですから、その前日の2月3日が節分というわけです。つまり、旧暦では2月4日が「春の始まり=お正月」となり、その前日の節分が大晦日ということですね。そのため、春の節分には古くから旧暦の年末年始を祝うさまざまな行事が行われており、豆まき(追儺式)などもその一つです。

 節分は季節の分かれ目なので、1年に4回あります。そのため、某有名コンビニが「夏の恵方巻き」や「秋の恵方巻き」など、それぞれの季節ごとに恵方巻きを考案して売り出そうとしたこともあるそうです。そう思うと、最近の恵方巻きブームは、日本の伝統行事というより「バレンタインデーのチョコレート」のようにお店の企画に乗せられている感じもありますね。

 ちなみに、今年の恵方は「北北西」だそうです。恵方巻きの具材は、七福神にあやかって7種類詰めるのがよいとされています。恵方巻きを信じる人は、ぜひ節分の夜に7種類の具材が入った恵方巻きを、北北西を向いて無言で黙々と1本食べきってみてください!


お正月の話

2017年01月06日(金)

 皆様、新年あけましておめでとうございます。楽しいお正月を過ごされましたか?

 普段は日本の文化や歴史にあまり興味がない人たちも、お正月には日本特有のさまざまな伝統行事や習慣を思い出しますね。そもそもお正月のお祝いとは、新しい年に「歳神様(としがみさま)」を家々にお迎えするお祝いです。年末に大掃除で家の中を清め、「鏡餅(かがみもち)」や「注連縄(しめなわ)」などの準備をします。家々の玄関には、歳神様が家に来る目印として「門松(かどまつ)」を飾ります。


 新年が明け、無事に歳神様をお迎えしたら、邪気を清めるために「お屠蘇(おとそ)」をいただきます。そして、地域の特性を活かし、縁起を担ぐさまざまな食材でつくられた「お節(おせち)」料理や「お雑煮(おぞうに)」をいただきながら、家族で新しい年をお祝いするのが、日本のお正月です。ほかにも「初詣(はつもうで)」「お年玉(おとしだま)」「初日の出(はつひので)」「書き初め(かきぞめ)」など、お正月には数々の伝統行事があります。

 では、いったいいつまで「あけましておめでとうございます」という挨拶をするのでしょうか?

 お正月に歳神様がいる期間を「松の内」といい、ここまでがお正月のお祝いです。関東では1月7日まで、関西では1月15日までと異なりますが、この日が過ぎたら正月飾りを外し、おめでとうのあいさつも終わりになります。遅れてきた年賀状の返事も、この日を境に「寒中お見舞い」となりますね。

 アジアの他の国々にも、お正月を祝うさまざまな伝統文化があります。でも、日本以外の各国では、中国や台湾の「春節」、韓国の「ソルラル」、ベトナムの「テト」など、新暦よりも旧暦のお正月を盛大にお祝いするようです。旧暦のお正月は二十四節気の「立春」。まさに「初春(はつはる)」のお祝いなのですね。


和食の定義

2016年12月08日(木)

 11月24日が「和食の日」というのをご存知ですか。

 和食文化がユネスコの世界無形文化遺産に登録されたことを受けて、「いいにほんょく」のゴロ合わせから、この日が「和食の日」に制定されました。今年のこの日に、本学も会員である「一般社団法人 和食文化国民会議」が和食の定義を発表しました。(この文の最後に掲載してあります)

 この「和食の定義」は、なんとなく読むと当たり前のことが書かれていますが、少し深読みすると、和食に関するいろいろなことがわかってきます。

 まず、一番大きなことは「米飯を主食とし、汁といろいろなおかずを箸で食べるものを和食の基本とする」ということです。つまり、ハンバーグ定食や麻婆豆腐定食も「和食」だということを意味しています。また、ご飯とおかずを一緒に食べるどんぶり物や、カレーライス・オムライスも和食と考えることができます。

 また、「だしの旨味と伝統的な調味料と使った粉食(小麦粉でできたもの)」も和食とされています。すなわち、そば・うどんはもとより、お好み焼きやたこ焼きも立派な和食だということです。それ以上に「鶏がら」や「とんこつ」などの、だしと醤油・味噌・塩という伝統調味料で味付けされたスープに、小麦でできた麺をいれる「ラーメン」も和食の仲間だということになります。

 このように、今回発表された「和食の定義」によると、いままでグレーゾーンであった料理が多数、「和食」の一つだとして認められました。和食の範囲がとても広く、皆さんの中には、何かしっくりこないと感じる人もいるかと思います。和食とは、いろいろな食文化を日本流に「和」することができる「食」ということだと思います。

 今回の定義で一番大切なことは、いろいろな料理を「和食」かどうか選別することではありません。最後の3行に書かれている「日本の食材を使い」「四季折々の季節感を大切にし」「自然の恵みに感謝する」食事であるということだと思います。

 これからも、自然の恵みに感謝して、おいしい和食を楽しんでください。


そばとうどんの話

2016年10月12日(水)

 10月は新そばの季節。新米同様、秋に収穫最盛期を迎えるそばの実を使い、薫り高いそばが楽しみです。

 皆さんは「たぬきそば」というと、どういうそばを思い出しますか?

 東京生まれの私にとって「たぬきそば」とは、天かす(天ぷらを揚げたときにできる揚げ玉)をのせたそばをすぐ思い浮かべますが、大阪の人にとって「たぬきそば」とは、甘辛く煮た油揚げをのせたそばのことだそうです。「それって、キツネそばじゃないの?」と思わず突っ込みを入れたくなりますね。大阪で「キツネ」といったら、油揚げをのせた「うどん」のことで、同じ具でそばにすれば「たぬきそば」になるようです。

 「たぬき」の名前の由来は、関東では天ぷらそばやうどんの種(具)を抜いた=たね抜き=たぬき、になったというのが一般的で、うどんもそばもどちらもあります。しかし、うどん文化圏である関西では「キツネ」といったら油揚げを入れたうどんのことで、「たぬき」といったら同じ油揚げがのったそばのことだそうです。キツネはうどんに決まっていて、うどんがそばに「化けた」のが「たぬき」だということらしいです。

 欲張りな私は、キツネもたぬきも両方大好きで、油揚げ(キツネ)と天かす(たぬき)の両方の具が入ったそばをよく注文します。お店によって「ムジナそば」とか「化かし合いそば」などと呼ばれています。

秋の新そばの季節、そば屋でこのメニューがあったら、ぜひ一度食べてみてください。


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